第8回組込みシステム開発技術展見学報告(2005/6/29)

アップウィンドテクノロジー・インコーポレイテッド
中村憲一
(2005/6/30)

東京ビッグサイトで開催されている第8回組込みシステム開発技術展を見学してきた。ここでは、以下のブースの出展内容について報告する。

イノテック(株)

ブース写真  会場への入り口を入ってすぐのところにあるイノテック社のブースでは、様々なハードウェアが展示されていたが、ここでは日本初公開のハードウェアを中心に3点紹介する。
 まずは、米DSS Networks社が開発したギガビットイーサネットボード。これらのボードは、日本国内では2回目の展示だが、まだ露出が少なく来場者からも注目されている。リアルタイムに高解像度の画像や映像の共有、配信などを行うシステム(防衛、航空、医療など)に適しており、他社とのベンチマークテストにおいても優れた結果が出ているようだ。これらのボードは、PCI-X、PCI Expressなどのインターフェースを持つため、これらのインターフェースに対応したマザーボードが必要になる。国内では、まだまだCompactPCIやVMEバスの利用が主流だが、このようなボードの登場により、PCI-XやPCI Expressへの乗り換えが進むだろうと予測しているとのことだ。 DSS Networks社のボード
ブース写真  次は、日本初公開の米Diamond Systems社が開発したPC104規格のボードおよびケース。摂氏-40度〜+85度で動作することが保証されており、動作環境の厳しい場所での用途に向いているようだ。パンフレットや説明パネルにスペースシャトルの写真がでかでかと使われていたので尋ねたところ、このボード類は、なんと実際にスペースシャトルにも搭載されているという。実際にスペースシャトルに搭載されているボード類が日本で購入出来るようになったとは驚きである。他にも、軍事車両や衛生に搭載されているとのことで、航空宇宙産業や防衛産業に従事している技術者は必見のボードである。また、宇宙にあこがれる組み込み技術者にとっても、一度は使ってみたい注目のボードではないだろうか。
 最後は、米ACT/Technico社が開発したPbフリー、RoHS指令対応のボード。こちらは、一般的な民生機器に適しており、ハードディスクやマイクロドライブ、大容量コンパクトフラッシュを使用することが出来る。また、システムが稼働中でも簡単にハードディスクドライブの取り外しや交換が可能なハードウェア設計が行われているとのことだ。様々な機器や場所でハードディスクドライブが利用されるようになった現在の組み込みシステムの構築に適した製品といえるだろう。なお、こちらも日本初登場とのことだ。 ブース写真
コンパニオン イノテックブースのコンパニオン

(株)フィット・デザイン・システム

T-Engine応用ボード  こちらのブースでは、T-Engineを応用し、オリジナルバスを採用したボードを出展していた。T-Engineと異なるのは、コンパクトフラッシュのソケットなどが別ボードとして提供されており、ユーザーが必要に応じてLANやVGAなどの機能を付加することが出来るところだ。まさに、安価にT-Engine応用したボードでT-Kernelを評価したいという技術者のニーズに合致した製品といえる。ブースでは、SH7760 CPUボードなどのボード展示のみだったが、社内では、T-Monitor、T-Kernel、各種ドライバやミドルウェアが動作しているとのことだ。
 また、フィット・デザイン・システム社では、評価後の試作ボードや、製品用ボードの開発も行っているため、T-Engine応用ボードとT-Kernelの評価から実際の製品開発までのソリューションをワンストップでユーザーに提供することが出来るのが大きな特徴だ。(取材中にも某大手メーカーが商談に訪れていた。)
 このような技術力と開発力を生かして開発されたのが、静脈認証システムだ。製品企画の段階から開発に参加し、専用LEDの開発などの基礎研究にも関わったとのこと。すでに様々なシステムで利用されているそうだ。 静脈認証システム

東電ユークエスト(株)

matrixTagSafeの展示  こちらのブースでは、USB、IPv6、PictBridgeなどのミドルウェアや組み込みデータベース、RFIDのセキュリティなどを展示していた。中でも注目されたのは、matrixTagSafeと名付けられたRFIDと暗号化を組み合わせたソリューションである。カードに埋め込まれたICチップとリーダー/ライターとの間で暗号化通信を行うわけだが、Felicaのようにカード内で暗号処理を行うのではなく、リーダー/ライターが接続されたPCなどの上で行うところが大きな特徴である。そのため、非常に安いコストでカードを流通させることが出来る。また、万が一、カード内の情報が改ざんされたとしてもPC上で情報を複号化する際に発見することが出来るため、安全なシステムを構築することが出来る。
 RFIDに関するソリューションを提供する企業はたくさん存在するが、システム構築までを含めた形で提供しているのは、現時点では東電ユークエスト社だけかもしれない。また、システム導入後のサポートを考えても非常に頼りがいのある企業だろう。是非とも今後の導入実績に期待したいところだ。
東電ユークエストブースのコンパニオン コンパニオン

レッドハット(株)

レッドハットブース  3年ぶりにESECに帰ってきたレッドハット社のブースでは、ランタイムパートナープログラムと呼ばれるRed Hat Enterprise Linux(RHEL)の組み込み製品への応用をサポートするサービスのプレゼンテーションを行っていた。これは、組み込み機器でもRHELをそのまま使用したいというニーズに応えるもので、RHELが対応しているアーキテクチャのみの提供になる。
 現在では、組み込み機器でもデータベースや、豊富なGUIを有するものが少なくない。よって、カーネルの移植やドライバ開発、パッケージソフトウェアのメンテナンスに時間をかけず、アプリの開発のみに専念したいという顧客も現れ始めており、欧米では有名企業が続々と契約しているという。日本で契約しているのはまだ数社だが、今後増やしていきたいとのことだ。 GNUProの展示
コンパニオン レッドハットブースのコンパニオン


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