第8回 CELFテクノジャンボリー 参加報告

「日本の組み込み情報」編集部
(2006/6/15)

 2006年5月26日にゲートシティー大崎で開催された第8回 CELFテクノジャンボリー に参加してきました。ここでは、いくつかの発表について報告します。

A demonstration of "Visual Terminal"

写真  50名弱の参加者全員による自己紹介の後、まず、富士通ソフトウェアテクノロジーズの近藤氏より、今回の目玉と言っても過言ではない発表とデモンストレーションがありました。
 ".u Visual"は、Visual コミュニケーション、Visual AVプレーヤ、Visual インターネット、1セグ/3セグ受信が可能な組み込みLinux端末とのことです。
 そのハードウェアは、CPU:FR461(400MHz)、SDRAM:128MB、NOR Flash ROM:64MB、3.7インチVGA TFTカラーLCD、タッチパネル、35万画素CMOSセンサ, 無線LANモジュール(IEEE802.11b)、1セグ/3セグチューナ、3軸加速度センサ、CF/SDIO、USB(クレードル使用時)から構成されており、要素技術として、カーネル2.6、GUIにWideStudio/WMTを採用し、高速立ち上げのためのチューニングを行っているとのことです。
写真 ".u Visual"のデモの様子。
左の端末は、Visual コミュニケーションのデモンストレーション。

右の端末は、1セグ放送を受信し、全画面表示するデモンストレーション。
写真にはありませんが、後ろに写っている外部アンテナを接続しての3セグ放送の受信にも成功していました。
写真 Visual コミュニケーションのデモンストレーション。
写真 1セグ放送を受信して文字情報と共に表示するデモンストレーション。アルプス電気製のチューナーを採用しているとのことです。 後ろに写っているのは、3セグ受信用の外部アンテナ。

なお、この端末は、2006/5/31〜6/2に東京ビッグサイトで開催されたLinux World Expo/Tokyo 2006のOrgパビリオンでも展示されていました。

WELC 2006を振り返って

写真  昼食をはさんで午後からは、ソニーの上田氏より、2006/4/11〜12にSan Joseで開催されたWELC 2006への参加報告がありました。携帯電話用のAPI、ビデオクリッププレーヤー、グラフィックAPI、マルチコアプロセッサにおけるパフォーマンスの向上、ALSAオーディオ、カーネルサイズ、ブートローダー、ユーザーレベルデバイスドライバなどに関する発表があったとのことです。
 また、Panasonic P901iTVが、「ベストオブショー」賞を受賞したとのことです。

参考ホームページ

Power Management Summit参加報告

 ソニーの神長氏より、2006/4/12〜14にSanta Claraで開催されたPower Management Summitへの参加報告がありました。各社より様々な手法が提案されたとのことです。  また、発表終了後、評価ボード上でPower Managementを活用して即座にビデオ映像を再生するデモンストレーションも行われました。

参考ホームページ

kernel 2.6に於けるスケジューラの調査

写真  東芝情報システムの中島氏より、Linuxカーネル(linux-2.6.17-rcx)に実装されている各スケジューラを実際に評価ボード(TX4937(300MHz),128MB RAM)上で評価した結果についての発表がありました。
 ベンチマークには、Plugsched、Interbench、Hackbench、オリジナルのベンチマークを用いたが、PlugschedとInterbenchについては、おかしな値が出ることもあり信頼できないという結果になった。Hackbenchについては、Ingoschedが優れているという結果が出たが、信頼性に疑問があるのでオリジナルのベンチマークを行った。
 その結果、RTスレッドの場合、IngoおよびIngo_ll以外のスケジューラが優れていることがわかった。しかしながら、1000個のデータのうち、1〜4個くらいおかしな値が出ているので気になっている。
 nickschedは、NICE値に応じてタイムスライスを変化させており、デスクトップ用途のアプリケーションには適しているかもしれないが、組み込みシステムでも適しているかは疑問である。
 Ingoschedは、non-RTスレッドの起動が遅いこともわかった。
 結局のところ、組み込みシステムには、どのスケジューラが適しているのかという結論は出なかった。よって、システムにあわせてインタラクティブ性、スケーラビリティなどを考慮する必要があるとのことです。

Analysis of User Level Device Driver Usability in Embedded Application

 IGELの松原氏より、ユーザーレベルでのデバイスドライバの実装手法に関する発表がありました。LinuxカーネルのライセンスはGPLであり、自社で開発したデバイスドライバをカーネルに静的にリンクするとGPLとなってしまうため、ユーザーレベルで実装すればよいのではないかという画期的なアイデアです。実験では、mmapの機能を活用し、シリアルデバイスドライバをユーザーレベルで実装したとのことです。実験の結果、シリアルデバイスであれば問題なさそうであるが、PCIデバイスなどに対応するためには特殊な仕組みを設けなければいけないので、そのようなデバイスに対応するために今後File I/Oなどの機能を使って研究開発を続けるとのことです。
 筆者の感想としては、File I/Oを使用すると、File I/O内の処理で結構時間がかかるので、筆者の常識ではやはり速いデバイスには向かないのではないかと考えますが、その辺りも含めて研究開発していただければと思います。もしかしたら、画期的なソリューションが産まれるかもしれませんので今後も期待大です。

おわりに

 残念ながら、筆者の都合によりここまでしか聴くことはできませんでしたが、それぞれの発表に対し、各メーカーの技術者からの質問があり、かなり内容の濃い議論が展開されていました。業務で組み込みLinuxに携わっている方はもちろんのこと、最新の技術について参加者同士で議論してみたい技術者の方は次回(2006/7/13)参加されることをお薦めします。

編集部より

「日本の組み込み情報」では、組み込みメーリングリストを運営しており、2006/6/15現在、組み込みLinuxメーリングリストには224名の方が参加されていらっしゃいます。まだメーリングリスト参加されていらっしゃないかたは、是非ともこの機会にご参加いただけますようお願い申し上げます。

 以上簡単ですが、第8回 CELFテクノジャンボリー の参加報告でした。



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